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やさしい税務会計ニュース
文書作成日:2025/06/10
会社が従業員に支給する資格取得費用は給与課税の対象になるか

[相談]

 私は、訪問看護ステーションなどの医療・福祉系事業所を複数運営している会社で経理を担当しています。
 このたび、当社では、昨今の人材不足により看護師の確保が急務となったことから、従業員の中で看護師資格取得を希望する者に対し、看護師資格取得に要する費用(看護学校の学費等の学資金)の支援制度を始めたいと考えています。
 具体的には、希望者全員を対象とし、一定額の学資金を、毎月の給与に加算する形で支給する方法を検討しています(なお、従業員は当社に時短勤務等をしながら、資格取得のための勉強を続けることを想定しており、万が一退職しても、その返済は一切求めない予定です)。
 そこでお聞きしたいのですが、上記の学資金は、所得税の課税対象(給与課税)になるのでしょうか。

[回答]

 ご相談の学資金については、所得税は課税されない(給与課税されない)ものと考えられます。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.給与所得の定義

 所得税法では、給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(給与等)に係る所得をいい、給与所得の収入金額には、金銭で支給されるものだけでなく、金銭以外の物又は権利その他経済的な利益(経済的利益)も含まれると定められています。

 したがって、今回のご相談の資格取得費用(学資金)は、原則的には、所得税法上の給与等に該当することとなります。

2.所得税が非課税とされる学資金

 その一方で、所得税法では、学資金については、「給与その他対価の性質を有するもの」を除き非課税とすると定められています。

 この点について、給与所得者がその使用者から受ける学資金であっても、その学資金が通常の給与に加算して給付されるものであって、法人の役員や使用人の親族等の一定の者の学資に充てるもの以外のものであれば、「給与その他対価の性質を有するもの」には該当しないものとして、非課税とすると定められています。

3.資格取得等のために従業員等に支給される金品が経済的利益として課税されない場合

 また、使用者が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人にその役員又は使用人としての職務に直接必要な技術もしくは知識を習得させ、又は免許もしくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えないこととされています。

 したがって、上記の内容と、看護師としての業務を行うためには法律上当然にその資格を取得していなければならないこと等を総合的に勘案しますと、今回のご相談の学資金については、所得税は課税されない(給与課税されない)ものと考えられます。

[参考]
所法9、28、36、所基通9-14、9-15、9-16、36-15、36-29の2、国税庁所得税質疑応答事例「従業員に貸与した奨学金の返済を免除した場合の経済的利益」、名古屋国税局文書回答事例「県から奨学金の貸与を受けた医学生が医師免許取得後県内の医療機関に一定期間従事することによりその返還及び利息の支払に係る債務を免除された場合の課税関係について」、保健師助産師看護師法5、31など

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